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フレンチフルコースの流れは?実は、順番に理由あり!

フランス料理のフルコースと聞くと、「非常にオシャレ」なイメージもありますが、「ちょこちょこと出されるのが面倒くさい」、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それはもったいぶっているのではありません。一つ一つが出てくる順序には食べる人に満足してもらい、しっかりともてなすための配慮が隠されているのです。なんとなく出されたものを食べるよりも、その意味を知っていただく方が楽しみも広がります。ここからはその流れと理由をまとめますので是非参考にしてください。

1.    フルコースの歴史

現在では前菜やスープ、メインディッシュなどが順番に出てくるのがフランス料理の流れとなっています。しかし1800年代より以前のフランスでは全ての料理が最初に並べられるスタイルが普通でした。これは多くの料理を一度に並べてテーブルを一杯にすることで「ゴージャスさ」を誇る意味があったのです。しかしながら、現在のように料理を保温する技術がまだ発達していない時代ですから、あたたかいものが冷めてしまったり、冷たくいただきたいものがぬるくなったりする欠点もありました。

それを改めたのはユルバン・デュボアという料理人です。彼はロシアの貴族につかえていたことがあり、その経験から料理を少しずつ順番に出していくことでより美味しく食べられるコースの形を提案しました。前菜―スープーメインデッィシュと分けて出せば、温度だけでなく食感などもベストのタイミングで味わうことができるのです。これを見たオーギュスト・エスコフィエという人がフランス全土にその様式を広め、フルコースの姿が確立して行ったのです。

2. コースの流れと特徴

・オードブル
「オードブル」は前菜のことで、これから食事を始めるにあたって、食欲を促進させる働きを持っています。そのためボリュームは敢えて少なくしてあることが多く、彩りの良さなどが優先される傾向があります。胃腸を整える意味でも塩分、酸味がベースの味付けをチョイスするシェフが多数です。

品数がある場合は冷たいものを先に食べ、温かいものを後に食べるのが一般的です。また、これらの味わいは食前酒と上手くマッチするような配慮もなされています。

・スープ
体を温める意味合いも持っている「スープ」はメイン料理への入り口です。その種類を大きく分けると、透き通ったコンソメスープと、クリーミーなポタージュスープの2つのタイプがあります。現在の一般家庭では「コンソメスープ」は顆粒やブロックのものをお湯に溶かすだけで瞬時にできてしまいますから想像しにくいと思いますが、一流料理店では非常に長い時間をかけてそれを作っています。手間暇かけた一品を料理の前半に投入することで「これから最高のおもてなしをしますよ」というメッセージも込められているのです。

近年はヴィシソワーズと呼ばれるスープが人気を呼んでいます。これはジャガイモをすりつぶした状態のものをコンソメスープに加え、生クリームで味を調えたスープで、コンソメよりさらに時間をかけた一品です。

・ポワソン
魚貝またはイカやタコを使った「ポワソン」は肉料理を用いたメインディッシュの前に挿入されます。肉よりも魚が先に出るのは消化の良さを優先した結果でもあります。

一口に魚貝料理と言ってもさまざまな調理方法があるので、それを簡単に説明しましょう。
〇ポワレ……蒸し焼きにする料理方法です。深めの鍋やフライパンでスープとともに魚を蒸し焼きにすることで味付けを行います。

〇グリエ……焼き目が付くように網焼きするのがこの調理方法で、オーブンを使う場合もあります。

〇ムニエル……魚に塩胡椒をした後に小麦粉をまぶして油やバターで焼きます。小麦粉の膜で素材が持つ本来の旨みと栄養分を外に出すことがなく、型崩れも防ぐ優れた調理方法です。中世のベルサイユ宮殿でも非常に愛されたと言われています。白身魚によく使われるのは淡白な身の部分とカリッとした焼き目のマッチングが美味しさを盛り上げるからです。

〇ソテー……少量の油で炒める調理方法です。「ソテー」という言葉は日本では野菜を想像させますが魚貝にも使われます。

〇ピカタ……魚貝に小麦粉を振り、たまごとパルメザンチーズを溶いた衣をつけて焼く方法です。

・ソルベ
ソルベとはシャーベットのことで、ここで一旦口の中をリセットさせるために出されます。これを知っていないと「デザートが出たのでもう終わりか?」と思って困惑することがあるので気をつけましょう。これは締めのデザートではなく、ポワソンで使われた油やソースの味を口の中から消し去り、スッキリして次のアントレにつなぐ役割を持っています。そのためここで満腹感を出さないようにあまり砂糖は使わずに作られているのも特徴の一つです。

・アントレ
いよいよメインの肉料理です。牛肉、豚肉、鶏肉など現在の日本でおなじみの素材を使う場合もありますが、鴨や鹿を主役にすることも珍しくはありません。

鴨などの臭みがある素材であれば、それをなくすための工夫が凝らされています。オレンジソースなどを使ってそのネガティブな面を打ち消し、調理されるのです。野菜の付け合わせが必ず乗せられているのは見た目の良さを演出しながら消化を助ける組み合わせを考えられています。

個人差もあるでしょうがこれを食べた段階で「そろそろお腹いっぱい」という感覚を味わうように、ここまでの料理のボリュームや味付けが計算されつくしています。これこそがフランス料理の緻密さ・奥深さの一つです。

・デセール
「お皿を撤収する」という意味を持つ「デセール」は、メイン料理の後に出てきます。ここまでの料理も見た目に気を配っていますが、デセールは装飾品なのではないかと思うような美しいものが振る舞われることが多く、それもまた料理人の腕の見せ所でもあります。

甘いものは食事の最後の満足感を演出し、食べたものを胃から腸へスムーズに送り込む動きを促す役目もあります。アイスクリーム、ケーキ、フルーツが一緒に出る場合もありますが、菓子系の「アントルメ」と「フルーツ」を別に出すのが正式です。

・カフェ、プチフール
コーヒーと小さな菓子で締めくくりです。コーヒーにはリラックス効果があり、含まれている成分には脂肪の燃焼を促進する目的があります。「プチフール」とは「小さい火」という意味で、大火力を使わずに作る調理方法からその名がついています。

コーヒーは通常のカップの半分程度のサイズで出てくることが多く、これは「デミタス」と呼ばれています。

3・まとめ

ここまで読んでいただいた方はフランス料理のフルコースの流れや配慮について、ご理解いただけたことと思います。目に美しく、食欲促進や消化のことまで考え抜かれたこの様式は、ただ空腹を満たすためのものではなく「芸術」の一種でもあります。慣れていないとマナー違反を恐れて「緊張のあまりなかなか味わえない」、という人もいるかもしれませんが、せっかくの機会ですからその全てを楽しむ余裕が欲しいものです。

このコラムをしっかりと読んでいただいて、フレンチの長い歴史やお店側の配慮を感じつつ、外観の良さ、素材とソースの味を考慮した料理の流れ、タイミング、バランスなど全てを味わっていただければ、と思います。そして満足がいった場合には惜しみなく謝辞を述べながらお店を後にしましょう。「高いお金を払ったのだからサービスを受けるのは当たり前」、という考えではなく、「素晴らしいものを提供してくれたお店を称賛する気持ち」を持つことが、そのサービスを維持していく力になることは間違いありません。

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