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今と昔じゃ大きな差!フランス食文化の意外点

今でこそオシャレで格式が高いというイメージがあるフランス料理ですが、意外にもイタリア料理よりかなり遅れて発展しました。それ以前には「洗練」と言った言葉とは程遠い、姿、味も雑な料理で、格式どころかマナーすらほとんどないような時代があったのです。

私たちが知る現在の「フランス料理」はいつごろから、どのように発展していったのでしょうか? このコラムではそれを詳しくおっていきます。

1. フランス料理のはじまり

1-1. フランス料理の起源

今でこそ「高級感」や「洗練」という言葉の代名詞にもなる「フランス料理」ですが、12世紀くらいには「洗練」という言葉とは程遠いものでした。ローストした肉、茹でた野菜などを、ほとんど見た目を気にすることなく並べ、お腹を満たせばよいというようなものが主流だったようです。マナーも現在のような様式はなく、手づかみで食べることが普通でした。味に深みや変化を与える砂糖やスパイスも当時は十分に手に入るものではなく、お茶やコーヒーもまだ食卓には存在しません。

14世紀ころになるとようやくシチューのようなものが登場して、徐々に「料理」という考えが発達しはじめます。変化が起こるのはルネサンス時代の到来からです。その当時文化的には先進性があったイタリアの影響を受け始めたのがきっかけです。

1-2. フランス料理の確立まで

フランス料理が劇的に躍進するきっかけは、1533年にフランス国王アンリ2世がイタリアからカトリーヌという女性を妃に迎えたことから始まります。彼女はイタリアでも高い文化を誇るメディチ家の出身です。すでに大きな発展を遂げていたイタリアの食生活に慣れていたカトリーヌはフランスの野蛮な食事に驚き、自国流の食文化を積極的に導入します。

調理方法はもちろんのこと、調理器具やグラスやフォークなどの食器類、優雅な食事作法を持ち込んだのです。彼女によって砂糖を使った焼き菓子や柔らかいケーキ、アイスクリームなどのデザート、ソースなどを使った味付けがもたらされ、宴会で華やかな料理が振る舞われるようになりました。

それまでただ焼いただけの肉や、野菜の煮込みなどが料理だと思っていたフランスの人々は衝撃を受け、自己流の料理の開発を始めます。その後に続くアンリ4世やベルサイユ宮殿を建てたルイ14世が料理の発展を望んだこともあって、いよいよ「フランス料理」という形式が発展していきます。もちろんベルサイユ宮殿にも多数のお抱えの料理人たちが雇われ、王の命を受けてより美味しいものを探求していきます。マヨネーズの原型やフォアグラなどが登場するのは1700年代です。

宮殿では徐々に発展していても、庶民のテーブルはまだまだ質素な食事が続いています。しかし1789年のフランス革命がおきると、貴族に召し抱えられていた料理人たちが失業し、民間のレストランに勤めるようになります。そうしてようやく1800年代から庶民の口にも豊かな食事が普及し始めます。

2. イタリア料理との違い

もともと「フランス料理」はイタリアの影響を受けて作り上げられた、と前項で書きましたが、その発展とともに現在では大きく変わっています。

大きく言うと宮廷料理として花咲いたフランスでは、素材の味を生かすために考え出された様々なソースの味わいやバリエーションで食べるものが多く、イタリア料理は素材で勝負する傾向があります。

また、イタリア料理は家庭料理が中心に発展し、フランスではプロのシェフによって生み出されていった、という分け方もあります。

使う食材の傾向も大きく異なります。フランスではバターを頻繁に使いますが、イタリアではオリーブオイルが重用されます。フランスでは肉や魚にパンが添えられている、というパターンが主流ですが、イタリアはご存じのようにパスタが主食です。

マナーも違いがあります。
・スープの食べ方はフランスではスプーンを奥から手前に使いますが、イタリアでは手前から奥に使います。
・フランスでは直接手を使うことは少ないですが、イタリアではOKです。
・食べ終わりは、フランスはナイフとフォークをお皿の右寄りに横にそろえて置くが、イタリアでは中央下側に縦でそろえるのが礼儀です。

3. フランスの食文化

3‐1.フランス食文化の伝統

上に書いたようにフランス革命以前の庶民は質素なものを食べてはいましたが、素材としてのポテンシャルは各地ごとに潜在能力として育まれていました。

西側の海岸線付近では海産物が豊富に食べられていました。海に面したブルターニュやロワール、プロバンスではムール貝やブイヤベースなどが食されています。また、北側にはドイツ、東側にはスイス、南側にはスペインといった様々な国と接していることもあり、農作物なども多くの種類が入手可能だったのです。そこに宮廷で発展したレシピが加われば、美味しいものができないはずはありません。

また、当時は冷凍や冷蔵の技術が未発達なため、食物を保存する意味でのスパイスや調理方法が味のバリエーションを作り出したとも言えます。

伝統を育てるには卓越した個人の貢献もありました。ナポレオンなど名だたる有力者に仕えたアントナン・カレームという人はレシピを文書化して百科事典を作成し、料理の発展に大きく貢献しました。ブリア・サバランという人は料理と地域文化の関係性を研究し、ガストロノミーという分野を打ち立てた天才とも言われています。

1800年代の中盤から後半にかけてはユルバン・デュボアという人が活躍します。彼はそれまで全ての料理が最初に並べられるスタイルを改め、味や暖かさを大事にするためにメインディッシュは後に出し、さらにその後コーヒーやデザートを給仕するという形を確立し、現在の様式に繋げていきます。

3‐2.フランスの郷土料理

フランスも地方によって様々な食文化がありますので、ここではメニューごとにその発祥の地や特徴を上げましょう。

・クロック・ムッシュー(Le croquet monsieur)
19世紀の前半にパリで生まれた料理です。日本では朝食のイメージがあるかもしれませんが、ディナーの前菜や昼食のメイン料理として発展しました。本来は食パンにチーズやハムを挟んで焼き、ベシャメルソースをかけて食べるものでしたが、時代とともに使用するパンや挟む具材も様々な形にかわり、バリエーションが多くなっています。

・舌平目のムニエル(La sole meuniere)
ルイ14世のころから宮廷内で愛されていた料理です。小麦粉の製造業者を「ムニエ」と呼ぶことからこの「ムニエル」という名称がつけられました。

小麦粉をつけて焼いた舌平目に、パセリを散らしたり、バターやレモンで風味を加えたりするのが一般的です。

・ブイヤベース(La bouillabaisse)
フランスの港町・マルセイユが本場の漁師たちが愛した料理です。初期には売り物にならないような魚貝類が使用されていました。

現在では1980年に制定された憲章で素材やレシピが細かく規定されるほど重要な位置づけになっています。

・鴨のコンフィ(Le confit de canard)
フランスの南西部の定番料理です。油で熱することで味もよく保存も利くようになることから比較的古くから使われている料理方法で、ウサギやガチョウにも応用されています。

4. まとめ

いかがでしたか。フランス料理の歴史や文化を、概略ではありますが知っていただけたことと思います。もちろん計算されつくした料理が多いフレンチには、一品一品に歴史や工夫が様々にあり、とても語り切れないほどの情報量があります。

興味を持たれた方は、ご自身でさらに詳しく調べてみてはいかがでしょうか? 知識が増えてくればフレンチを食べに行く楽しみもまた深まりますし、食べてみた後でその料理の成り立ちを調べるというのもまた楽しみです。
 

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